ZRX1200のRCMは少数ながらも過去に何台か製作されて来たが、このRCM‐528はその中でも
かなり手が加えられた仕様である。ベース車は沖縄在住のオーナーが元々所有されていた車両で、
既にRCM‐265 MK‐Ⅱを所有されていた事から、このRCM‐528は事実上2台目のRCM製作と言う
事になる。ZRX1200のRCM自体レア系な存在と言えるが、更に記述すべきは相当に力を注がれて
造り込まれている点である。
シングルシートは市販のボルトオンKITを採用しており非常によく出来て
いる製品であったが、RCMらしく細部への拘りとしてシートレールの加工やファイバーボディのアレンジ
など一見だけでは判断できない作業が施されている。ナイトロレーシング製Ninja用のアンダーカウル
を加工してZRXにフィットさせておりここもボルトオンではない。美しくペイントされた後ではわかりにくい
が成形加工に相当な時間を費やしている。エンジンは基本オーバーホール中心のメニューであるが、
分解後に鋳造部を全てガンコート塗装、クランクシャフトはダイナミックバランス後にジャーナル研磨を
施してピストンはハイコンプ化。トランスミッションにはDAEGの純正部品を用いて6速化を行っている。
ヨシムラミクニ製TMR‐MJNキャブレターとナイトロレーシング製ウェルドクラフトチタンEXの組み合わせ
により充分なトルク&パワーを実現させている。
足回りにも妥協はない。OHLINS倒立ExMパッケージ・
O・ZレーシングGASS RS‐Aホイール・BremboラジアルCNCキャリパーなど、世界トップメーカーの
逸品のみで構成。パーツ自体が持っている特別な存在感を放ったハイグレードな足回りスペックである。
メーター回りやリアフェンダーなど装備系も全てワンオフによるもので、ZRXでのRCMとしてここまで
造り込みされた車両は過去にはない。そういう意味でもこのRCM‐528は、ZRXのフラッグシップRCM
としての立ち位置にあると言える。
既に所有しているRCM‐265 MK‐Ⅱもアップグレードされた仕様だが
このRCM‐528はそれを超えたマシンに仕上がっており、とても2台目のRCMとは思えない完成度である。
オーナーの要望に応える事が出来た満足度高い車両として造り手の側の記憶にも強く残った、そんな
存在感のある1台である。